実践報告

転ばぬ先の法律知識 ~現役弁護士が語る法律セミナー~  山口 統平 氏

2015年2回目のモーニングセミナーは、われらが中川区倫理法人会の期待のホープ、山口統平弁護士です。簡単に先生のプロフィールから。先生は名古屋大学の農学部というユニークな経歴をお持ちです。なんでも、大学時代は遺伝子の研究で試験管を振っておられたようで…^^ 弁護士先生といえば法学部かなと思ってしまいますが…。ちなみに…わたくし…法学部です。法の前に「あ」がつくかも知れませんが…。

では早速、法律セミナーはじまりはじまり。

「法は倫理の最低限」

各論の話に入る前に、総論的な話から。いきなり、いい話が飛び出します。法律とはあくまで最低限の倫理なので、法律だけを守っているのでは全然ダメです…と。皆様、しっかり倫理を学びましょう…と。賛成です。

≪法律相談で多いのは…≫

相続・離婚・交通事故・債権回収・労働問題だそうですが、今回は特に相続、離婚が中心です。

≪相続≫

誰が相続人か…。血のつながりはないですが、配偶者(夫・妻)は常に相続人になります。そして、血のつながりのある親族については相続順位がありまして ①子(孫) ②父母 ③兄弟姉妹  の順番で相続人となります。

ここで問題となるのが、はたから見ると夫婦同然の生活をしているが入籍していない場合、愛人関係あるいは事実婚ですが、これは相続権はありません。

ところが…、この愛人もしくは事実婚の夫婦の間に

子供が生まれたらどうなるかというと、この子供には相続権があります。親は相続できないのに子供は相続できるのですね。そして…

この婚外子だけでなく、いわゆる正妻の子もいる場合なのですが、正妻の子と婚外子との相続分に差があるのかというと、ありません。おととしから変わりました。それまでは婚外は正妻の子の半分だったのですが、おととし最高裁判所で従来の判例変更と違憲判決が出まして相続分は同じということになりました。ただし、最高裁判所でも判事によって判断は分かれまして僅差でした。現在は最高裁の違憲判決を受けて、民法が改正されています。

※余談ですが…最高裁判所の違憲判決が出る可能性は前もって予想されていました。この裁判は最高裁判所の大法廷(15人の裁判官全員で審議する。通常は5人の裁判官で構成される小法廷)で審議されることとなったため。従来の判例を変更する場合と、重大な憲法解釈を伴う場合は大法廷での審議となります。

話を戻して相続というと財産がもらえるイメージがありますが、プラスの財産だけでなく借金も背負う可能性もあります。この場合、借金を背負いたくない場合は相続放棄することができます。これは相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続きを取らなくてはいけません。遺産分割をして1円ももらっていない場合、「放棄した」と思ってしまいそうですが、遺産分割をした結果相続財産をもらえなかった場合と相続放棄をした場合は、財産が入ってこない点は同じですが、法律上の効果は全く違うので注意が必要です。

≪離婚≫

夫婦にはお互いに守るべき義務があります。「同居」「扶助」「協力」そして「貞操」です。たとえば、配偶者から「悪意」で遺棄されたときは、離婚をすることができます。ちなみに、「悪意」というと相手を困らせてやろうとか陥れてやろうというような気持ちと思ってしまいそうになりますが、法律用語で「悪意」というと「ある法律事実を知っていて(もしくは知りながら)」という意味で、漢字のイメージに引きずられないよう気をつけましょう。なお、世間一般での「悪意」は法律上は「害意」といいます。

慰謝料と財産分与

離婚が成立すると、離婚原因を作っていない配偶者は相手方に対して(有責配偶者といいます)に対して慰謝料の請求ができます。ただし、夫婦が共同で築いたとみなされる財産は財産分与の対象となり、財産分与は有責配偶者も受けることができますので、夫婦の共同財産が大きい場合には責任のない配偶者から有責配偶者に対して現金を含む何らかの財産を移転する場合があります。なんとなく心情的に納得できない方もおられるかも知れませんが。

親権

日本では共同親権(父と母が二人とも親権者となり、夫婦としては分かれてしまうが、それぞれが子供の養育については責任を持つこと)を認めていないので、否応なくどちらかを親権者と定めなければいけません。子供にはかわいそうな話になってしまいますね。そうならないために、日々家庭円満・夫婦円満となるよう学び、実践をしているわけですが…。

 

今日は、勉強色の強い時間となりましたが、参考になりましたか? 転ばぬ先のお話で、法律問題・紛争にならないための知識について、お話をしていただきました。とはいえ、実際に何かが起こってしまう可能性もあります。そんなときは、素人知識で対処するのではなく、きちんと資格を持った弁護士に相談しましょう。最後に今日のブログ、法律問題についてはどうしても正確な表現が求められますので、固い感じの文章になりましたこと、お詫びいたします。

 

≪講師プロフィール≫

山口 統平 氏

(勤務先) 山口統平法律事務所

〒460-0002 名古屋市中区丸の内2-11-24 丸の内深尾ビル7F

TEL : 052-684-7072

 

 

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